08 December この前の休日 こんばんは。七条教室より、実技講師の上杉です。先日、休みの日に展覧会を回ってきました。アスクの非常講師でも頑張ってくれている服部先生の展覧会、僕の親しい友人のグループ展に行ってきました。思うのは、受験に関してのこと。今よりもより激烈な受験競争を強いられていた時代をくぐり抜けた、あの人、アイツが、受験で何を得、今どのようなスタンスで美術に取り組んでいるのか。大学に入ると、いきなり大海原のような美術の世界に放り出され、まず途方にくれる。水平線の彼方を目指す。深海に向かって深く潜る。水面からのジャンプを試みる。自分のスタイルで自由な泳法をとり、定めた果てまで泳ぎきる為の術を、あのとき、育んでいたんじゃないか。必要であれば、今まで培った知識を、技術を捨てる事もあったかも知れない。ただし、元から何も持っていない状況と、苦労して培ったものを捨てる事は、全く違う。決断のデカさが違う。捨てる為に体得する事、それ自体に意味は十分ある。あのときに育んでいた事はそれじゃないのか。美術に於ける受験のあり方に、疑問、葛藤やジレンマを持ち続けながら制作し続けた、あの人たちが受験を経て、獲得したものは、美術に於ける自分の立ち位置、強い信念なんじゃないだろうか。と思う。そんなことを考えながら、受験生のみんなには、本当に頑張って欲しいな。と思いました。応援してます。-おまけ-同じ日に、ミートパイを作りました。ケチャップとチーズの懐かしい味、牧歌的なビジュアル。好きな食べ物です。評価は「松」!やったね。上杉 [0回]PR 2012/12/08 (Sat) 20:48 アスクでのこと Comment(7)
07 December 漫画のこと こんばんわ。北山教室のマシヤマです。最近、マンガという日本の文化について考えることが多い私です。■20代半ばから、なぜマンガを買う量が激減したのか?■小学5年生の時に買い始めたのに今も連載が続いている『〇〇の紋章』というマンガはいつ終わるのか?!■面白くないマンガについての文句は作者に言うべきか?それとも編集に言うべきか?■『ポケベル』とかを描いてしまった当時のマンガの作者は、今どう思っているのか?今は何食わぬ顔で『スマホ』を登場させているのか?などなど。マンガの話に派生して……。手塚治虫に影響を受けた漫画家の一人である矢口高雄という漫画家の自伝漫画に(読みにくい文章)こんなエピソードがあります。『手塚治虫の漫画を初めて読んだ瞬間【画面を突き破って車が自分に迫ってくる衝撃】を受ける』というもの。おそらくそれまでにはない革新的なコマ割りとアングルの連続で、当時は相当ショックだったのでしょう。 ←その自伝漫画はこれ。コマ割りというのも考えるととても面白いです。実は枠線の『太さ』『平行・垂直』『斜め加減』コマの『サイズ』『形』などに人間の心理を煽る不思議な仕掛けがあって、読み手はそれを頭で考える前に認知して世界に引き込まれてしまうってわけ。面白いマンガを読む時に枠線なんて目に入らないし、むしろ映画を見ているように自然に時間が流れていますよね。 ←コマ割り解説図(他のHPからの拾いもの) ←昔のコマ割り。レトロでむしろ良い雰囲気(『のらくろ』より) ←やはり今でも斬新。(『ブラック・ジャック』より) ←昔のマンガというべきか?(葛飾北斎:作)最後に、今マンガを描いている生徒の皆にお勧めの写真集です。 ←『ハイパーポーズアングル集』普段の生活ではけして見られないポーズが満載です。けっこう勉強になりますよ。<マシヤマ> [0回] 2012/12/07 (Fri) 00:08 アスクでのこと Comment(3)
05 December 「10年後の京芸生」講演会のお知らせ サイトウです。京都市立芸術大学主催の講演会のお知らせです。12/12(水)17:30-19:30大学会館交流室10年前に京芸を卒業した5名が、それぞれの「今」を紹介し、芸大生の今後について考える機会にするという企画だそうです。美術学部卒業のパネリストは3名です。■駒井かほり アートディレクター (ビジュアルデザイン専攻 卒)■谷口 晋也 陶磁器家 (陶磁器専攻 卒)■政田 武史 画家 (油画専攻 卒)基本的には在学生が対象のようですが、「予備校生の方も是非」ということでご紹介いただきました。受験生はひとまず合格目指して目の前のやるべきことに集中してほしい時期ですが、高校1,2年生は是非!askスタッフで行きたい人も是非。サイトウもお休みいただいているので、行ってこようかなと思っています!要申込なので、行きたい人は12/9(日)までにaskへ連絡を!*さて、別のお知らせ。askにはこども造形表現教室がありまして、その北山教室教室長をしてくださっている佐竹龍三先生が地元の高知新聞で記事になったとのこと!ぜひご覧下さい。 <サイトウ> [0回] 2012/12/05 (Wed) 21:55 アスクでのこと Comment(0)
04 December 色彩・立体Week 同じものを食べ続けるクセがあります。 僕がまだ自炊をちゃんとしていた学生の頃は、 パスタならパスタ四日続けてとか、野菜炒めなら野菜炒め一週間とか。そんな感じでした。 ある日、カレーライスを一ヶ月食べ続けていたことに気付き、 我ながら呆れたものです。 理由は「つど食べるものを選択するのが面倒くさい」という一点なのですが、 やはり最後の方はさすがに飽きてくる。 で、次のブームが来る。僕の食生活はそういう繰り返しでした。 ただ、同じものを食べ続けると良いこともあります。 食べ物をつど変えるのが面倒だ、という動機ですから、出来るだけ長期に渡って飽きないように工夫するわけです。 具材を変えたり、トッピングを変えたり、調味料の配合を変えたり、はては食べるこちら側のコンディションを変えてみたり。 今日は悲しい気分でカレーを食べよう、とか、今日はアナーキーな態度で野菜を炒めてやろう、とかいうふうにあの手この手で趣向を凝らすのです。 すると、まあ色々調べたりもするので、かなりその料理に対して造詣が深くなる。 昨日と今日を比較したり、こないだの失敗を改善したり、明日のプランを立ててみたり。 そういうことをまとまった日数で繰り返すわけですから、当たり前に短時間で高度なものを作れるようになる。 ここで僕はハッキリと言い切りたい。 今週来週とSP・ST生が取り組む、色彩Week、立体Weekとはそういうことだ! いや、違うかもしれない! はやし [0回] 2012/12/04 (Tue) 15:50 アスクでのこと Comment(1)
03 December 描写プロセスを紹介してみます 僕がブログを担当するときは、書く内容についての指示があったりなかったりします。 説教臭くて面白くないけど生徒の為になる内容記事と、あまり為にならないけど面白い内容記事、この両方を普段は使い分けている訳ですが、今回はこの場を借りて、ある基礎生の制作プロセスを紹介してみることにします。 一非常勤のまったくの思いつき、どうなることやらご覧あれ~ “ASKプロセス” (とでも題しておきましょうか、怒られるかな) 課題: 後期第13週課題/鉛筆描写「電球と段ボール板の描写」/5.5h 制作者: Yさん/高校2年生/京芸美術科志望/ASK歴:2012年度・夏期講習から 制作日時: 2012年12月1日(土)/七条教室 説明:導入後、モチーフ構成の様子 コメント: 段ボールの加工と、構成における演出についての課題導入後、Yさんは、高さを演出する為に画像のような構成を組みました。 Yさん「段ボールを折って、モチーフに高さを与えることを意図した。 ダンボールの素材感を表わす波型状を描きたいので、それを手前に配置した。 折り目を見せることで、加工した感じを効果的に演出しようと思った。」とのこと。 与えられたモチーフを加工して構成する課題に対する、Yさんなりの工夫が見れます。 今回45cm角の段ボールが与えられていたことを鑑みると、モチーフ量としては若干少なめです。 説明:0.5h経過 コメント: モチーフのカタチを描くためのアタリをとっています。基礎生は、描写前に自主的にクロッキーをするように心掛けてください。 Yさんの場合、細かくならず、割と柔らかく描けていますが、電球のカタチを描くための補助線をもっと利用するべきです。 序盤、上杉先生より「卓上に配置した段ボールの前後関係、特に前後の明暗差をよく観察するように」とアドバイスがありました。 説明:1.5h経過 コメント: 段ボールを中心に前半の描写が進んでいますが、電球の球体がすでに狂っています。 また、この時点で前後の強弱に乏しく、先に上杉先生が指摘されたことを意識した描写が出来ていません。 コントラスト比を頼りに明暗差を描いていくと、空間感に乏しい写真的な描写になってしまいます。 前後関係を強弱で描き分けることが出来るようになってください。 説明:2.5h経過 コメント: 全体に手がまわりましたが、電球の立体感が描けていない為に、画面全体の表情が似てきました。 個々のモチーフの特徴は、常に抑えながら描写を進めてください。 普段からグレーイッシュな描写になりがちなYさん。 そこで、段ボール手前の接地面辺りに強い影の調子を置き、明暗の見え方は相対的だと説明しました。 説明:中間休憩17:00~17:30まで コメント: ご飯食べたり、友達とお話したり、休憩時間は教室が一気に賑やかになります。 土曜日の休憩30分はいつもあっという間ですな。 説明:3.5h経過 コメント: Yさんから「電球の立体感が出ない、下敷き用紙の写りこみや、電球の明暗をどう見て描いたらいいのかわからない」と質問。 そこで一時交代し電球に手を加えました。 ガラスや反射するモチーフを描写する場合、モチーフが見せる光の稜線を見極め、それと写りこみの両方を合わせて描いていくことが必要です。 相変わらず電球のカタチが横長で、ソケットと地面との隙間表現も乏しく見えます。 説明:4.5h経過 講評 コメント: 後半、描写がスピードアップしたところで一旦講評になりました。 段ボール側面のディティールは増えましたが、電球に強いキワ(輪郭)が描かれた為に、立体感が少しなくなりました。 講評では「モチーフを音にしてみる」ことについて話しました。 「下敷き用紙に影が落ちているが、その影を音で表現してみるとどんな音だろうか? 電球は? 段ボールは?」など。 モチーフを音で表現してみることで、質の違いを捉える一手としてください。 説明:5.5h経過 完成 コメント: 講評を踏まえて、1hの手直しをしてもらいました。描写が進み、質へのアプローチが増した分、隙間の空間が大分クリアに見えてきます。 個々のモチーフは、今後もっとグイグイ描き込めるようになりましょう。 電球のカタチが最後まで直らなかったのが残念です。 制作後のYさん「思っていた以上に仕事量が多かった。描いているときは材質の違いを描けていると思っていたが、講評で離して見てみると思ったほどの違いが描けていなかった。 モチーフ全体を意識して、それぞれの違いを早くから描けるようにしたい。」 今回はYさん有難う。 受験生・基礎生問わず、描写・色彩・立体問わず、成功失敗問わず、違う課題でもまたやってみたいと思います。 (次回があればの話) 初回、生徒を選び、制作時間を区切り、制作中の生徒の手を止めて撮影し、内容を取材するのはなかなか大変でしたが、一連の流れのなかで発見はあったかな。 実際に、各段階で色々な問題点を見てとれます。 それこそが、今回協力してくれたYさんの今後の課題そのものを表わしています。 案外、途中途中に上達への大事なヒントが隠れているんですね。 完成した作品を見るだけ、いつもの講評だけでは、そのヒントを日々見逃しているものです。 結果オーライ、終わりよければという、ある意味試験とはそういうものなんだなと、この仕事を始めて改めて思うのですが、だからこそ試験までの間くらい、せめて生徒自身が、日々制作における個々のプロセスを大事にして欲しいと思うのは、贅沢な要求でしょうか。 おわり 田和 [0回] 2012/12/03 (Mon) 18:42 アスクでのこと Comment(6)