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今日もアートスクール

京都アートスクールの4校(京都駅前七条校、京都 北大路駅前校、滋賀 彦根駅前校、NET通信実技センター)の日々を随時更新。
23 November

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25 January

デザイン活動は地域に文化を残す ―世界のデザインの潮流―

センター試験お疲れ様でした。
 今日は、少し教室の中の話と離れて、
 皆さんがこれから飛び出そうとしている業界の話をお届けできたらと思っています。
 長いけど、「ウッ」てならずに、読んでもらえるとうれしいです。
 サイトウです。
 
 

 
 先日、『デザイン活動は地域に文化を残す ―世界のデザインの潮流―』
 という財団法人大阪デザインセンターが主催するシンポジウムに行ってきました。

 
 
 今回は、プロダクトデザインを軸に3名の方が講演をし、ディスカッションをするというものでした。

 安かろう悪かろうの大量生産で粗雑にものを扱う時代から、
 なんとなく「いいものを長く使う方がいいのでは」という時代に入っているように思います。
 
 じゃぁ、いいものってなんだ?

 たとえば、地域に根ざした伝統工芸や伝統的な技。
 たとえば、デザイナーが「いいもの」を問いかけて考え抜いたコンセプトのある製品。
 「売れるか分からないから、今まで売れたことあるようなデザインに変えて」という意見で変更になることが多いそうです。
 これをどう機械生産・大量生産の流通が主流な中で、生き残らせることができるか…
 そんなテーマが話し合われた日でした。

 (写真左)
 ■鈴木 美和子さん(大阪市立大学大学院 創造都市研究科 客員研究員)
 コスタリカやアルゼンチンの最近の動向を紹介されていました。
 多摩美の油画出身でその後、大学院などへ進学されているという経歴の方でした。
 最近のラテンアメリカでは、地域に残る伝統工芸の技や品を若手デザイナーなどが中心に発信して、
 地域発展に貢献しているらしい。(経済的な意味でもブランド化というような意味でも)
 それは社会崩壊とか、日本とはまた違う社会状況を背景に起こってきている流れでもあるようなのですが。
 また、デザインを「文化資本」という言葉で定義することで、商業性だけが優先される理解から、一歩すすんでいくのではっていうような話でした……と理解している。


 (写真真ん中)
 ■永田 宙郷さん(株式会社イクス/プランニングディレクター)
 日本の伝統工芸をどう流通にのせられるかということを企画されている。
 ちなみに、金美の芸術学出身とのことでした。なんだか身近ですね。
 伝統工芸を、ただ現代の大量生産にのせるんじゃなくて、
 「中量生産」「適量生産」こそ、日本にしかできない産業のこれからのあり方になるのでは?
 という考えを持たれてると話されてて、すごく私にとっては衝撃でした。
 なるほど。
 「大量」か「手作りか」っていう観点の間があるのか!と、とても新鮮。
 あと、人口減少に対して、無理に大きさを維持し、競争しあうんでなくて、
 「前向きに縮小していくべき」時代だと考えられてるとも言われてて、納得でした。
 
 
 (写真右)
 ■羽場 一郎さん (イデア株式会社/プロダクトデザイナー)
 この方は実際にご自身もものをつくるデザイナーでもあり、会社の経営者でもあります。
 ファッションデザインの専門学校を出られて、その後デザインプロデュースに関わる会社に勤められている中で、プロダクトデザインの道を志すようになり、デザイナーとして会社で勤められていたそうです。
 でも自分の考えたデザインを世に出したいと思う気持ちが強くなり、企業。
 これはリスクも背負う覚悟があるから、本当にすごいことだな…と思います。
 中国とかに発注しなければ、どうしても生産価格はおさえられない現状など、
 身をもって体験されている話をお話しくださいました。
 「デザインの理想と理念を持つべき時代」と言われてて、その言葉が心に残ってます。
  



 総じて、「デザイナーの創造性と商業性との摩擦=文化と経済のギャップ」の中で、
 商業性(経済)が優先されていた時代から、
 「デザインの優先順位が『損得より理をとる』」時代にしていくべきだという主旨でした。
 この精神は、ぜひ若い皆さんにも継いでほしいと個人的に思っています。
 
 今、予備校では技術を学ぶことが多いですが、大事なのは心の方でもあると思います。
 受験も同じで、独りよがりにならず、作品を通して思いや意思、意気込みを「伝える」ことを考えてほしいなと思います。同時に技術がないと、伝わるところまでいかないというのが技術の大切さであります。
 
 
 世の中、無料でいい取り組みがたくさんやってます。
 大学主催の講演会なんてのも多いですし、フットワーク軽やかに自分のアンテナに素直に行動してみてほしいなと思います。できれば、欲望ではなく、向上心に基づいて。
 
 そもそも、サイトウのアンテナは、
 冬期京芸模試の総合芸術学科の小論文課題で、柳宋悦の文章が出て、
 本を読み始めたことがきっかけでした。
 民藝運動の精神が共感できるなぁと思っていて、息子の柳宋理さんの本でなおさらいいなぁと思ってて。
 そしたら、HPでいいタイトルの無料講演があること知って。

 
 
 どこにアンテナの根っこが落ちているかは分からない!
 そんなわけで一日一日、わくわく過ごしてほしいです。
 がんばれ!

 

 <サイトウ>

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