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美しい作品を並べてよく見てみると、
「美しさの法則」とでも名付けることができる共通のルールを見つけることができます。
しかし、この考えの 順序が重要で、
平面作品でも立体作品でも、
作品よりも先に「美しさの法則」がまず存在していて、その法則にそってつくられた作品のみが美しいわけではない。
まず先にいくつもの作品が存在し、
その中にいくつかの美しい作品を発見し、
それらに共通する法則を人間が後から見つけて、定めただけなのである。
それならばなぜ、我々(講師)は美しさの法則を教え込み、生徒に実践させようとするのか。
美しさの法則が実は無数に存在するものであるのならば、もっと自由に、
もっと好き勝手につくらせるべきなのではないのかという疑問に答える。
私たち(講師と生徒)は同じチームであり、例えるならば監督と選手だからである。
戦術を伝えず好き勝手に戦わせる監督はいない。
また、戦術を理解せずに戦ったり、監督の指示を無視することほど、選手にとって簡単なことはありません。
そしてこの簡単なことは、選手の成長のスピードをとても遅くさせます。
試験中に生徒が迷わないための戦術の一つとして、美しさの法則を伝え、理解させ、実践させているのです。
選手は監督の戦術を理解し、躍動することで、一人ではたどり着くことができない場所へたどり着くことができると考えているのです。
ここまで読んだあなたなら気づいていると思いますが、
美しさの法則を踏まえて制作していれば、それだけで高得点というわけではありません。
生徒自身が自分の作品が美しいか否かと自問自答しながら制作するために、
より美しくするための手段として、「美しさの法則」は存在しているだけなのです。
目的ではなく手段なのです。
そして講師は「美しさの法則」だけを物差しにして作品を評価してはいけません。
自分の目の前に、生徒や他の講師と共有した法則を用いていない美しい作品が現れた(もしくは現れそう)ならば、
その美しさに気づき、心を踊らせ、評価し、自信を持たせなければなりません。
決して自分たちの法則だけに当てはめて作品を見ようとしてしまってはいけません。
試験が近づいていればなおさらである。
なぜならば、実際の試験で採点をするのは予備校の講師ではないのだから。
サカグチ
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